ソリトン理論、可積分系の非可換空間への拡張が
現在盛んに研究されつつある。(レヴューとして
例えば[hep-th/0504001]がある。)
これまで、KP方程式、KdV方程式、Burgers方程式といった
個々の方程式の非可換化は、Lax形式、保存量、線形化などの
観点から詳しく調べられ、何らかの非常に特別な性質が
保たれていることが分かっている。
しかし、その特別な性質はどこから生じているのか、
可積分性を与えるのに十分なのか、といった
本質的な問いに対する答えをまだ手にしてはいない。
今こそより一般的な枠組みを構築し、
それらの起源や背景を探ることが必要とされている。

このお話では、ソリトン理論・可積分系の体系的非可換化
プログラム(佐藤理論およびツイスター理論の非可換化)
とその現状を紹介する。 特に最近の成果として、
擬微分作用素の枠組みから得られるLax方程式が全て、
無限個の保存量[JMP46(2005)052701]
および$N$ソリトン解[work in progress]を持つことを示す。
存在だけでなく具体的表式も与え、
解の振る舞いなどについても議論する。
また、4次元非可換空間上の反自己双対Yang-Mills方程式の
リダクション[to appear]についても紹介し、
物理的解釈についても考察する。
最後に今後の方向性について詳しく議論する。